全球研发趋势概述2021年」(2022年2月発表)をもとに、IQVIAジャパン 臨床開発統括部長 花村伸幸が最新の臨床開発の傾向において注視すべき点に加え、IQVIA日本法人における独自のインサイトを合わせて紹介した。

新薬トレンド:米国・中国に牽引される新薬創出の加速的成長

世界的なCOVID-19パンデミックが3年目を迎えるにつれ、世界中で新薬の承認、発売、またパイプラインが活況である。2002年から2021年に世界または特定の国で上市された新規有効成分は2016年から年々増加し、2021年には2倍に到達。特に、オンコロジー、神経領域(ニューロロジー)、COVID-19関連で増加が著しい。特徴的なのは、過去5年間で上市された329品目の薬剤において半数以上がオーファン・ドラッグであり、2021年の新規上市では約60%がファースト・イン・クラスだということである。

新規有効成分の上市数を国別で見ると、米国と中国が伸びており、欧州は微増、日本はやや減少という傾向にある。また開発パイプライン(Phase1から薬事申請まで)も世界的に増加しているが、本社の所在国別では米国と欧州企業を合わせてシェア70%となる。中国企業の伸びや韓国企業の微増と比べ、日本企業は2016年まで11%あったシェアが、2021年では6%まで下がっている。

加速的に増えるオンコロジーの開発パイプライン

治療領域別ではオンコロジーのパイプラインが加速的に増加しているが、全体の約40%を希少がんが占め、分子標的の低分子、生物製剤、細胞治療、遺伝子治療、RNA治療などの次世代生物薬が含まれる。オンコロジーに次ぐ神経領域(ニューロロジー)では、全616品中アルツハイマー病が127品目、パーキンソン病が96品目と全体の30%を占め、治療タイプとしては低分子が77%、生物製剤が16%となっている。また、それらに次ぐ消化器領域でも2017年以降パイプラインの増加が加速しており、約2倍に。約三分の一が希少疾患に集中している。

COVID-19における臨床試験・開発

2019年1月から2020年初期は全体的に臨床試験数が減少したものの、2021年には前年比16%増と回復。COVID-19関連でも高いレベルでの臨床試験が開始されている。

ワクチン及び治療薬関連で1200を超える企業主導の介入試験が行われているが、それに伴い2018年までは100万人以下だった全体の被験者の数が200万人を超えるほど急増している。

臨床開発の生産性は継続的に低下

グローバルでの全体的な臨床開発において、臨床試験の生産性を成功確率、複雑性、試験期間で評価すると、2015年をピークに生産性インデックスは低下を続けている。特に複合的成功確率では2021年に5%とかなり低くなっており、新薬リリースには非常に多くのリソースが必要になっていることを示している。

ただ成功確率は治療領域ごとに異なり、感染症では19%、希少がんでは16%と依然高い状況にある。

新興バイオ医薬品企業の躍進と日本の課題

日本のドラッグラグの原因として、グローバルにおける製薬企業セグメントで、新興バイオ医薬品企業(以下EBP : Emerging Biophama)の急増があげられる。

その背景として、2001年には全体の三分の一程度しかなかったEBPセグメントが、2021年には三分の二まで増加していることがあげられる。一方ラージファーマのセグメントは2001年の49%から2021年には24%まで低下。また、これまでEBPの開発以降はラージファーマによって上市していたモデルが、近年EBP自らが開発の最終ステージ、さらには上市まで行い独立性を高める傾向がある。

IQVIAではEBPを年間売上5億ドル未満、研究開発費2億ドル以下の企業と定義しており、COVID-19ワクチンにおけるビオンテック、モデルナなどが例として挙げられる。

EBPのパイプライン数を本社所在国・地域別に見ると2016年以降急増しており、米国と欧州でグローバルシェア全体の約66%。また中国企業のパイプライン数も過去5年間で11%、韓国企業は2016年の4%から2021年に6%まで増加しているが、日本企業については2016年の3%から20210年にはわずか2%へと各国の伸びに反して減少している。

また国・地域別の企業セグメント別パイプラインのシェアにおいても、EBPの割合は米国62%、欧州47%、中国83%、韓国76%と数年前とはかなり様相が変化している中、日本では22%と他国に比べ非常に低い水準にとどまっている。これらの点が国際競争力と共に継続的な新薬創出における大きな課題である。

(EBP以外に、IQVIAでは企業セグメントを年間売上げで以下のように定義している。Large Pharma:100億ドル以上、Mid-size Pharma:50億ドル以上100億ドル未満、Small Phama:5億ドル以上50億ドル未満)

日本における課題のポイントと課題解決に向けた提案

  1. 新薬創出の停滞
    グローバルトレンドでは過去5年で新規有効成分が2倍に増加している中、日本では増加が見られない。
  2. 開発バイプラインの停滞
    日本に本社を置く企業の開発パイプラインシェアは、2016年の11%から2021年には6%にまで低下している。
  3. EBP
    ファンディング、特殊な審査体制、限定的な治験網などが原因となり、各国で活況なEBPが日本では極めて未発達である。

こうした現状を踏まえ、グローバルでCROとしても事業展開する我々IQVIAジャパンはEBPの日本での新薬開発を支援し、日本の患者の皆様の新薬アクセスを持続的なものにしたいと考える。

すなわち、日本に開発機能を持たない海外のEBPに対して、IQVIAは国内治験管理人として、日本での臨床試験実施の支援、薬事コンサルテーションから日本での承認申請までをフルサービスとして支援していくことで課題の解決を目指したいと考えている。EBPによる新薬開発を日本に呼び込むためには、日本市場の投資価値が大きいことが前提になるが、EBPが治験を行いやすい環境、例えばグローバル標準である英語でのコミュニケーション力の強化、日本独自の運用をできる限り排除するなどグローバルレベルでのマインドセット、治験コストを下げる取り組みなどが必要だと考える。

/ 全球研发趋势概述2021年」(2022年2月発表)をもとに、IQVIAジャパン 臨床開発統括部長 花村伸幸が最新の臨床開発の傾向において注視すべき点に加え、IQVIA日本法人における独自のインサイトを合わせて紹介した。

新薬トレンド:米国・中国に牽引される新薬創出の加速的成長

世界的なCOVID-19パンデミックが3年目を迎えるにつれ、世界中で新薬の承認、発売、またパイプラインが活況である。2002年から2021年に世界または特定の国で上市された新規有効成分は2016年から年々増加し、2021年には2倍に到達。特に、オンコロジー、神経領域(ニューロロジー)、COVID-19関連で増加が著しい。特徴的なのは、過去5年間で上市された329品目の薬剤において半数以上がオーファン・ドラッグであり、2021年の新規上市では約60%がファースト・イン・クラスだということである。

新規有効成分の上市数を国別で見ると、米国と中国が伸びており、欧州は微増、日本はやや減少という傾向にある。また開発パイプライン(Phase1から薬事申請まで)も世界的に増加しているが、本社の所在国別では米国と欧州企業を合わせてシェア70%となる。中国企業の伸びや韓国企業の微増と比べ、日本企業は2016年まで11%あったシェアが、2021年では6%まで下がっている。

加速的に増えるオンコロジーの開発パイプライン

治療領域別ではオンコロジーのパイプラインが加速的に増加しているが、全体の約40%を希少がんが占め、分子標的の低分子、生物製剤、細胞治療、遺伝子治療、RNA治療などの次世代生物薬が含まれる。オンコロジーに次ぐ神経領域(ニューロロジー)では、全616品中アルツハイマー病が127品目、パーキンソン病が96品目と全体の30%を占め、治療タイプとしては低分子が77%、生物製剤が16%となっている。また、それらに次ぐ消化器領域でも2017年以降パイプラインの増加が加速しており、約2倍に。約三分の一が希少疾患に集中している。

COVID-19における臨床試験・開発

2019年1月から2020年初期は全体的に臨床試験数が減少したものの、2021年には前年比16%増と回復。COVID-19関連でも高いレベルでの臨床試験が開始されている。

ワクチン及び治療薬関連で1200を超える企業主導の介入試験が行われているが、それに伴い2018年までは100万人以下だった全体の被験者の数が200万人を超えるほど急増している。

臨床開発の生産性は継続的に低下

グローバルでの全体的な臨床開発において、臨床試験の生産性を成功確率、複雑性、試験期間で評価すると、2015年をピークに生産性インデックスは低下を続けている。特に複合的成功確率では2021年に5%とかなり低くなっており、新薬リリースには非常に多くのリソースが必要になっていることを示している。

ただ成功確率は治療領域ごとに異なり、感染症では19%、希少がんでは16%と依然高い状況にある。

新興バイオ医薬品企業の躍進と日本の課題

日本のドラッグラグの原因として、グローバルにおける製薬企業セグメントで、新興バイオ医薬品企業(以下EBP : Emerging Biophama)の急増があげられる。

その背景として、2001年には全体の三分の一程度しかなかったEBPセグメントが、2021年には三分の二まで増加していることがあげられる。一方ラージファーマのセグメントは2001年の49%から2021年には24%まで低下。また、これまでEBPの開発以降はラージファーマによって上市していたモデルが、近年EBP自らが開発の最終ステージ、さらには上市まで行い独立性を高める傾向がある。

IQVIAではEBPを年間売上5億ドル未満、研究開発費2億ドル以下の企業と定義しており、COVID-19ワクチンにおけるビオンテック、モデルナなどが例として挙げられる。

EBPのパイプライン数を本社所在国・地域別に見ると2016年以降急増しており、米国と欧州でグローバルシェア全体の約66%。また中国企業のパイプライン数も過去5年間で11%、韓国企業は2016年の4%から2021年に6%まで増加しているが、日本企業については2016年の3%から20210年にはわずか2%へと各国の伸びに反して減少している。

また国・地域別の企業セグメント別パイプラインのシェアにおいても、EBPの割合は米国62%、欧州47%、中国83%、韓国76%と数年前とはかなり様相が変化している中、日本では22%と他国に比べ非常に低い水準にとどまっている。これらの点が国際競争力と共に継続的な新薬創出における大きな課題である。

(EBP以外に、IQVIAでは企業セグメントを年間売上げで以下のように定義している。Large Pharma:100億ドル以上、Mid-size Pharma:50億ドル以上100億ドル未満、Small Phama:5億ドル以上50億ドル未満)

日本における課題のポイントと課題解決に向けた提案

  1. 新薬創出の停滞
    グローバルトレンドでは過去5年で新規有効成分が2倍に増加している中、日本では増加が見られない。
  2. 開発バイプラインの停滞
    日本に本社を置く企業の開発パイプラインシェアは、2016年の11%から2021年には6%にまで低下している。
  3. EBP
    ファンディング、特殊な審査体制、限定的な治験網などが原因となり、各国で活況なEBPが日本では極めて未発達である。

こうした現状を踏まえ、グローバルでCROとしても事業展開する我々IQVIAジャパンはEBPの日本での新薬開発を支援し、日本の患者の皆様の新薬アクセスを持続的なものにしたいと考える。

すなわち、日本に開発機能を持たない海外のEBPに対して、IQVIAは国内治験管理人として、日本での臨床試験実施の支援、薬事コンサルテーションから日本での承認申請までをフルサービスとして支援していくことで課題の解決を目指したいと考えている。EBPによる新薬開発を日本に呼び込むためには、日本市場の投資価値が大きいことが前提になるが、EBPが治験を行いやすい環境、例えばグローバル標準である英語でのコミュニケーション力の強化、日本独自の運用をできる限り排除するなどグローバルレベルでのマインドセット、治験コストを下げる取り組みなどが必要だと考える。

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博客
臨床開発のグローバルトレンドと日本の課題
IQVIAジャパン メディアセミナー 開催レポート (2022年5月18日開催)
企业通信
2022年5月18日

IQVIAジャパンは2022年5月18日(水)にメディアセミナーをオンライン開催。IQVIAの情報研究機関、IQVIA Instituteが毎年刊行する世界の臨床開発に関するレポート「全球研发趋势概述2021年」(2022年2月発表)をもとに、IQVIAジャパン 臨床開発統括部長 花村伸幸が最新の臨床開発の傾向において注視すべき点に加え、IQVIA日本法人における独自のインサイトを合わせて紹介した。

新薬トレンド:米国・中国に牽引される新薬創出の加速的成長

世界的なCOVID-19パンデミックが3年目を迎えるにつれ、世界中で新薬の承認、発売、またパイプラインが活況である。2002年から2021年に世界または特定の国で上市された新規有効成分は2016年から年々増加し、2021年には2倍に到達。特に、オンコロジー、神経領域(ニューロロジー)、COVID-19関連で増加が著しい。特徴的なのは、過去5年間で上市された329品目の薬剤において半数以上がオーファン・ドラッグであり、2021年の新規上市では約60%がファースト・イン・クラスだということである。

新規有効成分の上市数を国別で見ると、米国と中国が伸びており、欧州は微増、日本はやや減少という傾向にある。また開発パイプライン(Phase1から薬事申請まで)も世界的に増加しているが、本社の所在国別では米国と欧州企業を合わせてシェア70%となる。中国企業の伸びや韓国企業の微増と比べ、日本企業は2016年まで11%あったシェアが、2021年では6%まで下がっている。

加速的に増えるオンコロジーの開発パイプライン

治療領域別ではオンコロジーのパイプラインが加速的に増加しているが、全体の約40%を希少がんが占め、分子標的の低分子、生物製剤、細胞治療、遺伝子治療、RNA治療などの次世代生物薬が含まれる。オンコロジーに次ぐ神経領域(ニューロロジー)では、全616品中アルツハイマー病が127品目、パーキンソン病が96品目と全体の30%を占め、治療タイプとしては低分子が77%、生物製剤が16%となっている。また、それらに次ぐ消化器領域でも2017年以降パイプラインの増加が加速しており、約2倍に。約三分の一が希少疾患に集中している。

COVID-19における臨床試験・開発

2019年1月から2020年初期は全体的に臨床試験数が減少したものの、2021年には前年比16%増と回復。COVID-19関連でも高いレベルでの臨床試験が開始されている。

ワクチン及び治療薬関連で1200を超える企業主導の介入試験が行われているが、それに伴い2018年までは100万人以下だった全体の被験者の数が200万人を超えるほど急増している。

臨床開発の生産性は継続的に低下

グローバルでの全体的な臨床開発において、臨床試験の生産性を成功確率、複雑性、試験期間で評価すると、2015年をピークに生産性インデックスは低下を続けている。特に複合的成功確率では2021年に5%とかなり低くなっており、新薬リリースには非常に多くのリソースが必要になっていることを示している。

ただ成功確率は治療領域ごとに異なり、感染症では19%、希少がんでは16%と依然高い状況にある。

新興バイオ医薬品企業の躍進と日本の課題

日本のドラッグラグの原因として、グローバルにおける製薬企業セグメントで、新興バイオ医薬品企業(以下EBP : Emerging Biophama)の急増があげられる。

その背景として、2001年には全体の三分の一程度しかなかったEBPセグメントが、2021年には三分の二まで増加していることがあげられる。一方ラージファーマのセグメントは2001年の49%から2021年には24%まで低下。また、これまでEBPの開発以降はラージファーマによって上市していたモデルが、近年EBP自らが開発の最終ステージ、さらには上市まで行い独立性を高める傾向がある。

IQVIAではEBPを年間売上5億ドル未満、研究開発費2億ドル以下の企業と定義しており、COVID-19ワクチンにおけるビオンテック、モデルナなどが例として挙げられる。

EBPのパイプライン数を本社所在国・地域別に見ると2016年以降急増しており、米国と欧州でグローバルシェア全体の約66%。また中国企業のパイプライン数も過去5年間で11%、韓国企業は2016年の4%から2021年に6%まで増加しているが、日本企業については2016年の3%から20210年にはわずか2%へと各国の伸びに反して減少している。

また国・地域別の企業セグメント別パイプラインのシェアにおいても、EBPの割合は米国62%、欧州47%、中国83%、韓国76%と数年前とはかなり様相が変化している中、日本では22%と他国に比べ非常に低い水準にとどまっている。これらの点が国際競争力と共に継続的な新薬創出における大きな課題である。

(EBP以外に、IQVIAでは企業セグメントを年間売上げで以下のように定義している。Large Pharma:100億ドル以上、Mid-size Pharma:50億ドル以上100億ドル未満、Small Phama:5億ドル以上50億ドル未満)

日本における課題のポイントと課題解決に向けた提案

  1. 新薬創出の停滞
    グローバルトレンドでは過去5年で新規有効成分が2倍に増加している中、日本では増加が見られない。
  2. 開発バイプラインの停滞
    日本に本社を置く企業の開発パイプラインシェアは、2016年の11%から2021年には6%にまで低下している。
  3. EBP
    ファンディング、特殊な審査体制、限定的な治験網などが原因となり、各国で活況なEBPが日本では極めて未発達である。

こうした現状を踏まえ、グローバルでCROとしても事業展開する我々IQVIAジャパンはEBPの日本での新薬開発を支援し、日本の患者の皆様の新薬アクセスを持続的なものにしたいと考える。

すなわち、日本に開発機能を持たない海外のEBPに対して、IQVIAは国内治験管理人として、日本での臨床試験実施の支援、薬事コンサルテーションから日本での承認申請までをフルサービスとして支援していくことで課題の解決を目指したいと考えている。EBPによる新薬開発を日本に呼び込むためには、日本市場の投資価値が大きいことが前提になるが、EBPが治験を行いやすい環境、例えばグローバル標準である英語でのコミュニケーション力の強化、日本独自の運用をできる限り排除するなどグローバルレベルでのマインドセット、治験コストを下げる取り組みなどが必要だと考える。

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